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成人下垂体機能低下症

成人下垂体機能低下症

成人下垂体機能低下症は脳腫瘍およびその外科治療、下垂体卒中または梗塞、外傷、浸潤性疾患(肉芽種、感染、癌の転移)、遺伝子異常などが原因となり発症する病気であり欠乏するホルモンの種類によって多種多様な症状が出現します。

成人成長ホルモン(GH)分泌不全症

成長ホルモン分泌不全症のうち成人期のものを成人成長ホルモン(GH)分泌不全症と呼びます。成人期に成長ホルモンが不足することにより体脂肪の増加、筋肉量の減少、体内水分量の減少、最大酸素摂取量の減少、心血管系疾患罹患率の増加、心機能障害などを生じます。又自覚症状としては、易疲労感、エネルギーおよびスタミナの低下、抑うつ傾向と不安感の増大、傾眠傾向、集中力低下、皮膚の乾燥など様々な症状が認められるようになります。

【成人成長ホルモン分泌不全症の診断】

小児期発症で成長障害があるか(成長ホルモン分泌不全症と確定診断されている)、または成長ホルモン分泌不全症に起因すると考えられる自覚症状(易疲労感、気力低下、抑うつ症状)および身体所見(体脂肪増加、皮膚乾燥、骨量低下)を認める場合(特発性)。一方、頭蓋内器質性疾患の合併ないし既往歴、治療歴がある、または周産期異常の既往を有し、かつ複数の下垂体ホルモン分泌低下がある人(続発性)を対象に1~2種類以上の成長ホルモン分泌刺激試験を行い成長ホルモンの分泌低下が認められれば成人成長ホルモン分泌不全症と診断します。

【成長ホルモン補充療法の目的】

成長ホルモン補充を行うことにより、前述した自覚症状、身体所見をより正常化させ生活の質を改善することを目的とします。

【実際の治療】

毎日就寝前に成長ホルモンを皮下注射します。投与は少量より開始し、自覚症状、血液中のインスリン様成長因子—Ⅰ(IGF-Ⅰ)値をみながら4週間ごとに増量し維持量を決め、以後継続的補充を行います(IGF-Ⅰとは、骨及び骨以外の体細胞における成長ホルモンの成長促進作用を仲介する因子のひとつです)。有害事象として治療開始時に手足のむくみ、手根管症候群、関節痛、筋肉痛などがみられることがありますが、治療継続中にほぼ消失します。

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